築地/ばあちゃん

今年も歳末恒例の築地労働週間だった。
西本願寺の奇怪な建物を見ながら、きんとんや黒豆を売ってきたのである。
兄のニャンコ先生(一部ではそうあだ名されている)と一緒に声を張り上げ売ってきたよ。
昔は栗きんとんは、1キロ缶が飛ぶように売れ、500グラムはサブの立場であったが、今は逆転している。家族の人数が減ったということだろうが、不思議なもので、あれだけ普通の大きさだった1キロ缶がやけに大きく感じる。


まあ、きんとんやハゼの甘露煮を能動的に買う人は、年寄りが多い。おばあさんは、昔の家族形態のまま、多く買い、嫁はぜったい残るんだわという顔をしながら、暮れは喧嘩するのをやめようと想い、したがっている。
介護の一環として、息子が年老いた母親の築地買い出しにつきあっているという姿も何度も見た。がま口が開き、震える指先が金を出していくスローモーション。俺、見入ってしまう。転形劇場西本願寺合掌。
また、おばあちゃんたちの中には、70年代初頭のananのグラビアに出ていたモデルのような姿をしている方々もけっこういる。その頃の若い女性は、まだ60くらいだから、そんなばあちゃんじゃないはずだが、どういうことか。70年代前期に40代になっていたが、文化変革期の動きにしっかり呼応したタイプの女性たちの今の姿なんだろうな。ユースカルチャーの中心には、10〜20年くらい年上の人が必ずいて、その人たちがいい動きがするんだよ。
ずっと昔から毎年やってくるベルギー人婦人、今年も買いにくる。去年あたりから夫もやってくるようになった。大使館か大学を定年になったんだろう。中井英夫を思わせるインテリ色男がボロボロになった感じ。ご苦労さん。


しかし、いつも見ていて思うのだが、築地の商店街が一体化した建物である円正寺、秀逸だ。
http://www.gc-pc.com/fujisawa/img/img-taisyo-roman/tukiji-jyougai-ensyouji-z-.jpg


朝4時起きをしつつ、打ち合わせをし(例のあれは、五代友厚の写真を使うことに決定!)、東京経済大学で記事の構成や海の家の話なんかをしたりして、それなりに忙しく、あまり眠らない毎日だった。
31日の今日は、家を簡単に掃除をし、家の前の一人暮らしのおばあさんに、昨日もらったおせち料理を分けにいく。独居仲間だもんな。これを書いていたら、もう、お返しに、せんべいとお菓子のひよこもってきた。えらい、ばあちゃん。


これから買い出しにいこう。雑煮の材料と酒に何かムーンライダーズ? ワインでも飲みながらアルバム聞いて、僕はするりと2007年に入っていくつもりです。