「植田実の編集現場」へ、また行ってしまった


今日も「『都市住宅』再読・植田実の編集現場」に行ってしまった。
(詳細は1/16のダイアリーで)


 植田さんに教えられ壁をよく見たら、それは手書きで描かれた巨大なレイアウト用(指定)紙になっているのだった。DTPが導入される前、雑誌には雑誌独自の指定紙があって、それはものすごく大きな意味をもっていたものだった。


 会場デザインをした塚本氏らのアトリエ・ワンは、その指定紙を大きくしたものを手書きで作って壁に貼り、少し前の編集者やデザイナーが雑誌のページを作るように、指定紙にそって雑誌のページコピーなどを貼り込んでいたのだ。


 指定紙という空間。
(仕事をする人と人が連絡しあう道具としてあった用紙が今失われていく。そのことの意味がひろげられているギャラリー)


 今日は、植田さんやスタッフは、かつての編集現場で写植を張り込んでいくように、壁にディスプレイされた雑誌コピーに、その記事が何年何月号であるのかを示すコピー紙を貼る作業をしていたし、校正をする時に、編集者同士が連絡のために付箋にメモするように、植田さんの解説が手書きで書かれた付箋が壁に貼られていた。
(追加される言葉が指や手書きのリズムで追いかけることのできるくらいのスピードをもった都市)


 その付箋の言葉をヒントにして、街に出てみたい。

(明日あたりは、壁に貼られたコピーや年表にアカで校正が入っていくかもしれないね)


●古本屋で60〜70年代の雑誌を買い漁っている人
植草甚一が歩いていた時代の街のノイズを体験したいと思っている人
以上のような子はぜひ、この展覧会に行くといいと思う。楽しめます。

それと植田さんが作っていた雑誌「都市住宅」が68/71の時代の温度をもっていたせいか
この展覧会もなんかそんな温度が微妙にある。
ナム・ジュン・パイクフルクサスがやっていたようなゴチャゴチャとしてんだけど、どこかモダンなイベントの感じが出ていて、インテリアでも勉強している子がいくと、よい引き出しを自分の中に作れると思うな。


植田実って、若い人にとって、とても素晴らしく意味のあるジーサン(ごめんなさい)だと思う。2004年の発見1


■おまけ 実は三田の建築学会に行く前、
銀座の松屋日本画巨匠の「川合玉堂展」を見てきた。海に突き出た巨大な岩に砕け散る海水が気体に変化してしまう瞬間、滝壷に落ちていく強力な流体が霧状になっていく一瞬が、描かれた平面。
海辺というスペースを見ていると、こういう絵画が好きになってしまって……。