海辺から棄民へ

海の家への興味から海辺、さらに海辺の集落への興味が広がっている。今週の水曜日、漁村のフィールドワークをずっとしてこられた研究者、中村茂樹さんという方にお会いした。沿岸強風地域の住居や季節によって住む場所を変えていく漁村の話などを聞いてきた。

中村さんは明石書店から『棄民の文化人類学』という本を出している方だ。沿岸集落についての話が終わってこの本についての雑談をした。

棄民としての幼児・子ども/棄民としての農山漁民・経済的棄民/棄民としての戦士・戦争による棄民/棄民としての被差別者/棄民としての先住民・少数民族/各種中毒誘発物質による棄民/棄民としての異端者/棄民としての流浪の民/棄民としての実験材料などについて書かれた本だ。

雑談には、前から気になっているアイリッシュ・トラヴェラーズ(アメリカにけっこうの数がいるという流浪の民)の話なども出た。

そんな雑談をしたせいか、今回のイラクゲリラによる3名の邦人拘束についてのニュースを聞いた時は、「棄民」という言葉が浮かんだ。2004年、日本国はこのように人を棄てるのかと、裏の事情をわからない私はすぐに思ったりした。

今これを書いている時、3人が解放される予定というニュースが入ってきた。

自衛隊は撤退しない」という政府からの発表があったニュースを知って「棄民」という言葉が浮かんだ瞬間のことを、しっかり記憶しておこう。