まるで音楽のようなキューバ映画を見てきた

 イラク戦争関連の嫌な話ばかり聞かされるので、ここはベトナムキューバでしょう!という安易な考えでフィルムセンターでやっている「キューバ映画への旅」シリーズへ。映画「ハノイ13日火曜日」と「79歳の春」を見てきた(4/23)。
 

 監督はキューバのドキュメンタリスト、サンチアゴアルバレス
 

ハノイ13日火曜日」は、1966年アメリカによる北爆にさらされたベトナムの映像を38分に纏めたプロパガンダ映画。「79歳の春」はホー・チ・ミンに関する、これもまた「ヤンキーどもよ、帰れ!」などというセリフが入るプロパガンダ映画。
 しかし、社会主義者のメッセージをただ座って受けとめ学ぶ映画ではない。ロックコンサートのように立って踊って声を出して(「ヤンキーどもよ、帰れ!」には「イエー!」と反応するような)楽しむような映画なのだ。インド映画の観客もすごいが、キューバ映画の観客も相当熱い人たちなのだろうか。


このプロパガンダ映画は、ほとんど音楽だ。「79歳の春」では、69年の作品ということもあり、後半ではアメリカの反政府デモの映像を素材に、そのフィルム自体に傷を入れたり、切り刻んだりする当時の実験映画の手法も使われる。つまり、この作品ホーおじさんのゆったりした映像の流れから、激しいサイケデリックミュージック映画へと進展していく。1969年、キューバではこの映画を観客はいったいどのような態度で見たのだろうか。誰か教えていただきたい。