オアシスBBSに寄せて

本日、私が詩と絵そして編集をした
『オアシスBBSに寄せる五行詩』という小さなパンフレットを
友人たちに配ってきた。
暑い中、海沿いの道を歩いて
この人に言葉を届けたいと思った人たちに配ってきた。


実はこの夏、森戸海岸の海の家オアシスのBBSが大変な事態に陥っていた。
オアシスに対する批判の言葉が集まったのだったが、
その言葉の質として驚くべきものだった。
2004年6月末から閉鎖される7月27日まで、まさに言葉の退廃の現場だったのだ。
ライブの音問題、違法駐車など解決すべき問題は具体的にあった。
しかし、すさまじい人の心を傷つけ愚弄する発言の嵐は
議論などできるものではなかった。


言葉を書くことを専門とする私にとって、
コミュニケーションを愚弄する言葉を読む若い友人たちが気掛かりだった。
そんな友人たちのために作ったのがこの小さな詩集である。
英国の詩の世界に「五行詩」というものがある。
一、二、五行が韻を踏み、三、四行が別の韻を踏む定型詩
退廃を前にして定型の表現がもつ豊かさを借りる必要があったのだ。


さらに定型の詩には、書く者と読む者が文化や教養を共有することが前提になっている。
同じことを知っているから、洒落や韻が楽しめるのだ。
ここはポイントだなと五行詩を知った時思ったのだ(実はつい最近なのです)。
『オアシスBBSに寄せる五行詩』は、もう閉鎖されてしまったあのBBSをよく知っていればいるほど楽しめるものになっている。


あの言葉の退廃の場所でさえ、記憶や歴史、遊びの素養になること。
そのことを若い友人たちにメッセージしたかったのだ。

(悲惨なことさえ、そこから多くを学べること。
それは戦後という時代に知ったことだ)


昨日の夜からレイアウトしたり、プリントしたり紙を追ったり切ったりして作った。
一生懸命手作業で作り、そして歩いて友人たちに配ったのは
BBSからなるべく遠くのところで言葉を人に伝えたかったからだ。


今週は名古屋や大阪に行ったりするので、海の家にはなかなかいけないのだが、
近々、葉山のいくつかの海の家で
『オアシスBBSに寄せる五行詩』を手渡ししていこうと思っている。


詩と絵をかいたささやかなパンフレット。楽しめると思う。