蜂やリス

この時期は、蜂の集団が急に部屋の中に入ってきたり、家のあっというところに巣を作ったりする。
巣を作られると、燃やしたり殺虫剤を使って退治する人がいるが、私はホースで強い勢いの水を暗い時間にかけて巣を壊すことにしている。
そんな時は、たいてい津村耕祐デザインの「FINAL HOME」のコートを着て行う。あの異様なフードを被って眼鏡をかけてタオルを顔に巻き、軍手をはめて、FINAL HOMEがもっている世界観の危機意識を心いっぱいにして蜂の巣を壊す。
次の朝、見てみるとたいてい残った蜂が十数匹いる。それを見るたびに「平家物語」の絵巻物のようだと思ってしまう。平家の敗残兵たち。蜂の姿が甲冑を身につけた者のように見えるのだ。自分がしたことなのに、いつもぐっときてしまう。

今日、家の前の大きなフェニックスの木を見ていたら、 リスがいた。農家でもないのでリスは見てもほうっておいているのだけど、このフェニックスの木のいっぱいなっている実はリスにとられたくなくて、木をばんばんたたいたり石を投げあげてリスを追いかけた、リスはおいつめられ、けっこうな高さから飛び下りた! そのリスが下の道の地面に着地する時の大きな音。ものすごく痛そうな音。その音が耳から去らない。

仕事関係で人と話している時でも、この蜂の姿やリスの痛そうな音が体に残っていたりするものなのだ。東京にいる時も蜂やリスをどこかで意識している。