SOLAYAという店、そのフライヤーの地図について

寒いけれど、青空がきれいだ。
今住んでいる秋谷の丘は、青空と広がる海が楽しめるところなんだ。
その丘にある自分の家から歩いていけるところにお店ができた(この時点ではまだオープンされてませんよ)。
上から見るとノーチラス号を思わせる形の長者が崎を眺めることができる細い1本道、秋から冬だけ歩ける葉山の方へ抜けていく山道。それはよくいく散歩道だ。


その道の近くにある大きな家。
保養所として使われた大きな別荘風の建物の内部を改造してお酒や食事、音楽が楽しめる店なのである。オアシスやブルームーンの若いスタッフたち、その流れからの人たちが作った店だ。


SOLAYAというのだけど、自分の家から歩いていける店ができてしまった、どうしよう。といっても私の家からは、ほんとに真っ暗な道を歩いていくわけで、そんなふうに歩いていく自分は童話の登場人物のようだろう/帰り道はただのヨッパライだろう。


そのフライヤーが興味深かった。特に地図だ。なんてことはないコンピュータでさっと描かれた地図。そこにはZuyo Shindo EXITがあり国道であるR134のラインが描かれてあり、CoyaやKanompan、Sunshine+ Cloudなどの店の位置を示す●印が置かれていて、それはSOLAYAのスタッフや来てほしい客の生活スタイルをさりげなく示すものだろう。
そして、ここが面白かったのだが、「夏しか浜辺に存在しない、今いってもそこには実在しない海の家オアシスとブルームーンの位置」が示されていたのである。
今そこにはないのに、でもそれを示した方がわかりやすく、またこの店の性格を示すのに便利ということで記されたのだろう。
あるネットワークの中でできあがった地図の魅力がそこにあった。


夏しか存在しない海の家が、ある人々のネットワークの結節点になると、こういうことが行われてしまうのだ。実在しないのに地図に示されることもあるということ。この地図を見ると、海の家というネットワークの結節点がON/OFFになることがわかる。「海の家って夏しかやってないじゃん」と思うのではなくて、海の家をON/OFFする結節点として思ってしまうこと。


そのON/OFF認識をもった子たちが作ったのかな〜と思って、お店の中を覗かせてもらった。やはり空と海がきれいにど〜んと見えます。優雅なリビングでゆったりしながら飲み物や食事が楽しめそうです。下の階が面白くて、畳敷きで旅館にいるようでした。ここではお茶や焼酎が楽しめるようだ。ブルームーンにいた女性が美味しそうなお茶をいれていた。


それからもう少し地図のことを書きます。話が少しずれますが。
ある人間のネットワークが力をもっている時、そこで作り出される地図には、実在しないものがさらりと描かれます。
70年代前期のタウン誌のプレイマップに描かれる東京の街角から地続きに存在するヘイトアシュベリー、東京ロッカーズ関連の地図のシブヤに佇むようにコラージュされるピストルズのメンバー、もっと趣味的なミニコミなら麻布の暗闇坂にモモンガーが描かれ、ユースカルチャーではないネットワークなら、たとえば文学系サークルで作られた同人誌の地図には夜道を歩く永井荷風の姿が描かれたりする。
これらがただの飾りのイラストではなく、実際に人と人が出会える記号として機能するにはネットワークの豊かさが必要となるはずだ。(少しずれた話なので、スミマセン、なんとなく、うまく重ねあわせて下さい)


繰り返しますが、SOLAYAのフライヤーの地図は、今は実在しない海の家の位置が示されることによって、私なんかにはとても興味深い地図になっていた。(ネットワークの結節点がON/OFFというより、存在自体がON/OFFする時、そのネットワークをたどる人々はどんな風になるんだろうか?)さらに、自分が住んでいる家がその地図の磁場の盛上がりにあることが面白かった。確かに、この秋谷という土地には、まだあまり知られていない素敵な場所があり、いろいろと遊べる場所なのだと思う。

SOLAYAのオープンは今週末です。