ノルウエーのジャズグループ Motif

今月は、新宿のpitinでノルウエーのジャズグループのライブに行ったのだった。
12月3日のこと。バンドの名はMotif(モテーフ)。http://invs.exblog.jp/i2


Atle Nymo (アトレ・ニーモ)  tenor saxophone/bass clarinette
Goran Kajfes (ゴラン・カイフェス/カジフェシュ)  trumpet
Ole Morten Vaagan (オレ・モッテン・ヴォーガン)  bass
Haavard Wiik(ホーヴァール・ヴィーク) piano
Haakon Mjaaset Johansen (ホーコン・ミョーセット・ヨハンセン)  drums



トランペットのGoran Kajfes はスウェーデン人で、このバンドのトランぺッターが他の仕事で来日できないので、代役としてきたようだ。


とても美しい音響体験を提供する音楽家たちだった。
ジャズの魅力であるリズムとかビートを背景に遠く置き、
前面に出すのは、サックスとトランペットとウッドベースの音の重なりだ。
その音と音が重ねてできる音質に、彼らは「決め」を見いだしており、
ある音響ができあがった瞬間が、「最高潮」ということになる。
するとリズム隊が出てきたり、まさにモダンジャズ的なソロの即興になったりする。そのあたりは平凡な感じがするのだが、またたくまに、「最高潮」の音響がやってきて、楽曲全体が非凡な印象となる。そして終わる。
記憶に残るのは、音響だ。
多分素晴らしい音響といえる時間は数秒ではないか。
その数秒の記憶を私たちに残して、彼らは一曲を終える。


音の肌理を脳に刻印する行為としての一曲。


時間の流れに沿って展開する音の流れというよりは、
空間に置かれた楽器の音の重なりが問題とされているのだろ。


非常に空間性のあるバンドだったので、新宿ピットインではあわなかったかもしれない。もっと広がりのある空間で音を出すバンドだったろう。


と書いたところで、ずいぶん昔、そう80年代の中期の頃、世田谷美術館でやったDurutti Columnのコンサートを思い出した。私はこのバンドが大好きで、その時の演奏もよかったのだけど、広告代理店が入って仕切っているような雰囲気があって、音楽を楽しませる雰囲気ではなかった。
空間性のあるバンドをよい空間にもっていくあり方は、金がある時代は、やらない方がいいのだと思っているけれど、このノルウエーのジャズバンドMotifは世田谷美術館あたりでやって欲しかった。


絵画の色彩の重ね方に愛着をもっている人は、とてもわかる音楽だと思う。