くちぶえと週刊誌

インターネットラジオNUSICでの、美術館モノの番組のテーマ音楽は、「くちぶえ」でしようと決めた。ある口笛奏者の方に依頼を行ない、先程電話で打ち合わせをした。
5年前くらいだろうか、くちぶえ音楽への気づきが音楽界に少しだけあった。なんかできないかと思って動いたが、出版界ではほとんど見向きもされなかった。私は関われなかったけれど、その気づきを表明したのは『relax』だけだった。
その時ほんとに思った、海の家とくちぶえにすぐ反応する君たちはエライ!と。


pod-walkのwalkという身振りにはくちぶえはぴったりだ。
このアイデアを思いついた時、やった!と思った。
しかしである、レコーディングは生ピアノとくちぶえ。すごく難しいのではないか。俺なんかにはできないんじゃないかと、打ち合わせをした後で、思ってしまった。これを読んでいるレコーディング小僧で、無償で協力したいという人がいたら連絡下さい。こういうお願いこそ、mixiを使うといいのかしら。


4月になった。この月から本格的にしなければならない仕事の準備体操ということで、『週刊誌風雲録』(高橋呉郎 文春新書)と『三流週刊誌編集部』(佐々木崇夫 バジリコ)を手に入れ読んだ。前者は光文社の『女性自身」の元編集者、後者は徳間書店の『アサヒ芸能』の元編集者が書いたもの。どちらもおもしろい! 
『週刊誌風雲録』は戦後の週刊誌がどのように生み出されていったのかを知るのに、ほんとによい本だ。知識が整理されました。『三流週刊誌編集部』も戦後週刊誌文化の流れを知るのにもよいのだけれど、さすが『アサヒ芸能』ということだろうか、書き手の不良編集者ぶりが読んでいくうちに身にしみてきて、ヤクザ映画を見た後の観客が身振りを変えてしまうように、数ページ読むだけで、すれっからしの気分になって、二日酔いでタバコ吸って原稿書きなぐりたくなってきます。著者のヒール文体、これは味わい深い。ずっと雑誌で書き続けてきた大先輩の技量をしっかり見せていただいた。


この『三流週刊誌編集部』を映画化したら、そうとうよい日本映画ができるのではないだろうか。翻って、『週刊誌風雲録』に出てくる草柳大蔵梶山季之井上光晴も、魅力的で、日本の戦後週刊誌のある時期は、映画原作の宝庫に思える。いかがでしょう?


また、『三流週刊誌編集部』は、アニメ史に興味がある方はぜひ読んでおくべきだろう。徳間書店のアニメもの隆盛の流れが独特な角度から語られていく。なにせ、この著者、同僚をぼかぼかに殴って『アサヒ芸能』を辞めさせられ、流された先が『ギャンブル劇画』という漫画雑誌、そこから『テレビランド」『アニメージュ』ということになり、宮崎アニメへと話は流れていく。
この流刑の島から見えてくるアニメ業界が、素晴らしい。ガキ狙いのさまざまな商魂が激しく錯綜する修羅場として描かれるのだ。その金の亡者たちを手玉にとってとられていく著者の味わいがまたよろしい。非常に楽しめる本です。


そういえば、逗子、葉山には徳間書店編集者の流れがありまして、これが、なかなかの方たちなのである。近々お会いして、この出版社がある時期もっていた独特の匂いや空気を味わってみようかしら。