プリ/東京移転/『路上派遊書日記』

サムルノリの流れを汲むバンドでありながら、パーカッションバンドから離れていき、
韓国の伝統音楽の現代的な展開を試みている音楽グループ「プリ」。
彼らは、今月末に来日し、東京と大阪で公演を行なう。
グループの中心人物、ウォン・イルに、ガイナックス山賀博之も注目しており、
ウォンは将来、山賀が監督するアニメーションの音楽監督になるだろうといわれている。確かに、このプリの音楽、アニメーション的想像力を刺激する音楽だ。(ウォン・イルが音楽監督をした韓国のアニメに『ワンダフルデイズ』があり、これはガイナックス設立20周年記念の作品として、上映された)
このプリのDVD付き公演パンフレットを制作してきた。数日前、校了。後は10月30日の東京公演を待つだけになりました。
http://wonpuri.seesaa.net/category/621851-1.html


日本海側沿岸に点在する小さなあるスペース。それをテーマにしたパンフレットの制作を開始。11月には、取材が行なわれる。このスペースについて調べるために、日本の民家についての資料を漁っている。しかし、農村のスペースを美学的に捉える写真集などはそれなりにあるのだけど、漁村をそう捉えるものは少ない。漁船の美学は成立するが、漁村というスペース、それも家屋について魅力的に捉える視点はわずかだ。
今回の作業のポイントは、漁村を新たな視点で見ること。そのために、私たちは注目すべき視覚をもっている写真家N氏を選んでみました。来週、打ち合わせで会うことになります。楽しみ。


ずいぶん、このブログも書かなかったのだけれど、その間に引っ越しをしました。
海が見える一軒家を離れ、東京の大森に住むことになった。街暮らし。
(知り合いには、移転通知をハガキやメールで送ったつもりだが、このブログで初めて知った方は、連絡が遅れて申し訳ありませんでした)
ジャーマン・ストリートという、かつてドイツ人たちの子弟たちが通っていたドイツ学園があった地域。


ラジオ・ホームラン系の仲間たちが、秋葉原にスペースを確保した。ここで、インターネットラジオにもうひとつの表現を加えた活動を行ないたいと思っています。具体的に動き出したら、ブログなどで発表していくつもり。関係者各位、よろしくお願いします。


南陀楼綾繁さんが『路上派遊書日記』(右文書院)という本を出した。ナンダロウ氏のブログの2005年のテクストをまとめたもの。
引っ越しの最終期、段ボール箱に本を詰めていく作業をしながら、どの本を手元に残して、後始末の日の夜、がらんとした部屋で読むのか、それが楽しみでした。
旅に行く時、どの本をもっていくのか、ホテルでどう読もうかと考えるような楽しみ。長田弘の本など数冊選んだのだけれど、引っ越し作業をしている時期に、右文書院の青柳さんから送っていただき届いたこの本が、結局は引っ越し最後の夜に読む本になった。


本が詰め込まれた段ボールが置かれた部屋で読むのは、ナンダロウさんの本には似合っているなと思いながら、がらんとした部屋、酒を飲みながら読んだ。
そんな夜に読んだせいか、この『路上派遊書日記』は、本を読むことではなく、本という物体が右から左へ左から右へ、下から上階へ2階から1階へと運び込まれていく運動についての本なのだと強く感じられた。タイトルにある「路上」とはその運動が行なわれるスペースのことなんでしょう。フンコロガシならぬホンコロガシの生態を見るようで、圧倒されつつ楽しんでしまった。
引っ越しは海の家のブルームンやオアシスのメンバーに手伝ってもらった。家まで車が近づけないので、本を入れる箱は小さくしたのだけど、やはり大変だったろう。彼らに迷惑をかけた、その重さを感じ入りながら、本を読んでいった。
本って重たい。その重たさを感じていくと、この本はすごく面白くなる。
そして本書には、300個の「圧巻の註」がついていて、「渡邉裕之」という註もあります。自分について書かれたテクストをしみじみと読むのも、引っ越し最後の夜らしく、よかった。ナンダロウさん、青柳さん、ありがとうございます。


そういえば、数日前、和歌山に住む友人から電話があって「今度の保坂和志さんの本に、ワタナベさん、出てるよ!」といってきた。『小説の誕生』という本とのこと、まだ読んでいないので、なんともいえないのだけれど、どんなふうに出ているのかは想像がつく。「小説に出てるんじゃないか事件」だろう。読むのが楽しみ。


そんなこんなで、東京生活が始まりました。よろしくお願いします。