中里和人さんと、時速100キロの車の中で話すと、起こること

新潟や石川県にある漁村を巡る旅をしてきた。
3日間の旅、その前の週の3日間の旅によって、なんか眼力がついた。
駅のホームで読んでいる文庫本の活字とホームの表面が同時にはっきり見える。
電車の中にいる若い女の顔を威厳ある顔として見ている。


前の日記に書いたように、『R』や『小屋』などの写真集がある写真家、中里和人さんらとの取材旅行である。中里さんは、突然、運転している車を停めて、車外に出ていって数メートル後方にある看板の前に走っていき、それを撮影したりする。このようなことが何度か起きる。
それは貸衣装屋の看板だったり、不思議なバランスで描かれた動物の絵の看板や、妙な形の換気扇だったりする。
こうしたモノを、だいたい時速50キロくらいのスピードで、運転しながら次々と発見していく。そして一言、そのモノに対してコメントをいい、車に乗っている者を笑わせ、車を発進させる。
私は先週の三日間、さらに先々週の三日間、その行動に身を浸してきたわけだが、その影響か。


今回の取材対象は、漁村のあるスペース。とにかくそのスペースを次々と見ていった。
漁師の方たちとも、話をした。その漁師の視力の影響か。


あるいは、何人かの女性編集者とも一緒の旅だったのだけど、この人たちの、「酒とめし」はおいしいものをしっかりと夜遅くまで食べさせてあげるから、早朝から見るべきものはちゃんとみなさいよ、という大方針のせいか。


取材を終え東京へ戻る。高速に入って時速100キロ。
そのスピードの空間で、UFOの話を中里さんとした。
私にとって、UFOはとても大切なことなんだ。
UFOそのものより、UFOとの出会った後の身の処し方はとても大きな問題だと小さい頃から思っていて、
その大切な部分を中里さんと話せたのはよかった。
このことが話せたら、後は、もう、酒飲み話でいいなと思った。
(メッセージがあまりない人間は、とても楽なんである)
あの時、あの時速100キロの眼前の光景のせいか?


しかし、この眼力の効力は1週間もつか。1週間で書いちゃうか?
けれど、読むという行為もおもしろいところに来てるしな。