シュヴァンクマイエル展店員日記

8/25(土曜日)開館前のラフォーレ原宿。午前10時過ぎの時点で建物前には長蛇の列。本日のシュヴァンクマイエル、サイン会整理券獲得のために、ファンの方多数並んでくださっているのである。ありがたい。


エスクァイアやコロンビアの方たちと、ばたばた動いていると、すぐにオープン11時。図録を買った方に整理券配布ということなので、レジ前に長蛇の列。店員モードになったばかりなので、対応おぼつかず。中には、変に時間がかかってしまったり、店員らしい挨拶などできなかったこともあり。初日午前中に来られたお客様、申し訳ありませんでした。お昼くらいには慣れてきたのでした。


展覧会、ものすごい入り。シュヴァンクマイエル初体験の方も多そうな雰囲気。女子多数。女子も男子もけっこうお洒落。葉山の美術館とはまったく違った客層。話をしてみるとアンダーカバーの高橋氏の影響や、アニメ好きの友人に教えられて来た人などがいた。もちろん、大ファンも見にきている。それなりの金額になるシュヴァンクマイエルのデジタルリトグラフも売っているのだが、注文いくつかとれる。これはやはり熱烈ファンの方たちが買ってくれたのであった。


5時より売店横で、シュヴァンクマイエルのサイン会。一人一人と話をし(通訳はチェコセンターのペトル・ホリー氏)、サインをする。黒を基調にした図録のカバー、僅かな白部分であるカバー表3見返しの部分の黒サインペンで名前を書いている。よかったよ、あそこ白にしといて。ファンの方の中には、白や金、銀のマジックを用意して、黒ページにサインをしてもらっている人も。ゴスロリの女の子、何人かいる。シュヴァンクマイエル、やはり、ゴスロリ好きなのであろう、サインをしばし忘れ見入っている。

8時過ぎやっと終了。8時半より会場でレセプションパーティー。図録のデザインをしていただいたベターディズの大久保氏、野田氏、執筆者である山形浩生氏、翻訳者である阿部賢一氏、アンダーカバー高橋氏らに挨拶。他にもいろいろな方々。中には、怒髪天を衝くではないが、髪が天空へと突き抜けている感じのヘアースタイルのドラァグクィーンの方もいる(ビビアン佐藤氏)。迷路状になっている展覧会会場、そこに配置された独自の世界観で感受された モノたち、音楽でもガーンと流れていれば、このようなドラァグクィーンの方に先導されて、異界へと突きぬけたかもしれぬが、現実のパーティは淡々と進んだのでした。シュヴァンクマイエル氏のパーティー挨拶は、「エヴァの作品を多く展示できたのがうれしい。エヴァのことを忘れないでいただきたい」といったものであった。


パーティ終了し、企画制作のラップネットの瀧場氏、篠塚氏、会場設営ディレクションの大澤氏らと床に坐ってチェコビール。談笑。大澤氏と寺山修司佐々木昭一郎氏の話をする(ペトル・ホリー氏は佐々木氏と仕事をしているのである)、それから転じて寺山脚本のラジオドラマの話へ。
解散後、盛り上がってきた大澤氏に呑もうよと誘われるが、ゲラの校正しなければいけないので、お断りして帰宅。


8/26(日曜日)客足は昨日よりやや衰えたとはいえ、けっこうな数。カワイイ方々けっこう多い。少女アリスの姿のような子たち数人、『不思議の国のアリス』など立ち読みしている姿、不思議。雑誌「装苑』はアリス特集、裏テーマはシュヴァンクマイエルとか。発売後、この姿の方々、もっと多くなるかも。楽しみなんだわ。本日DVDよく売れます。ポスターも。ポストカードも。もちろん私が編集した図録も!


お客様と話をする。お友達がシュヴァンクマイエル好きで誘われた、ゴスロリへ移行期ファッションの女子。展覧会楽しんだとか。その友達に話を聞くと、葉山には行っていなかった。ここ1年くらいでシュヴァンクマイエルのことを知ったのだろうか。鋭い感性をもった感じの多分60代の男性と話す。シュルレアリスムと今の若い子たちが、こうして安易に出会ってしまうのは疑問だなという。変に使用してしまえば、シュルレアリスムはただの薬物になってしまうといった。もう少し話をするところだったが、レジの人間に呼ばれてしまう。も〜う! それから、このお客様との会話は昨日のことだったが、この展示の仕方で、オブジェなどまわり込むように見ることができないことに不満をいっている方がいた。このことは、大澤氏には伝えた。彼はシュヴァンクマイエルを美術家の側面と、人形劇や演劇、映画などを行なう側面をもっている者ととらえ、「裏にまわりこめない」意味を語った。この展覧会、芸能的側面を強くしている面が確かにある。それから、このお客様は、現在の美術館業界のキュレーターへの批判を語ってもいたわけだが……ああ、もう本日月曜日も出勤しなければいけない時間なのであった。それでは、この話の続きはお店でしましょうね。