美濃/京都/風にさらされて

いくつかの用事のために、美濃と京都に行ってきました。
美濃では、ある民家を撮影し、美濃紙を購入。
京都の用事のひとつが、いくつかのアイテムのための書店営業。京都の恵文社一乗寺店へ。魅力的な空間。しかし、圧倒的に女子の世界でした。


ちょっとだけ一乗寺の街を散歩。すると、和菓子屋前、男子学生たちの背中にただならぬ気配が。いきりたつように、あるいは仁王立ちで、5,6人の男子たちがじっと店頭の和菓子を見つめていた。とびきりの甘さなのか。ふと横を見ると、向こうの方から男子学生が一人、両手に何かを持って歩いてくる。ジャージ姿なのでダンベルでも持ってウォーキングかと思ったら、ビールの空き瓶だった。1本ずつ右と左に持ち黙々と歩いてくる。「ビールが飲みたい、お金が足りない分はこの空き瓶で」。わかりやすいコンセプトだ。和菓子屋で静かに興奮している男子学生たちの後ろを、黙々と通り過ぎていくビール瓶男。「男子学生たちの世界」を、わかりやすく見ることができた一乗寺でした。
そういえば、昨日読み終わった浦沢直樹和久井光司の『ディランを語ろう』(小学館)にも、ロックが男子学生のものだった頃の語りの質感があった。
硬い興奮、とてもシンプルな思想、危険極まりない耽溺。そうしたことを、ほんとに少数しかいない「わかってくれる友達」に語るために、男の子が情報をどう整理し料理していたのかが思い出せる対談。


流れで、ロック系の書籍の話を少し。
blues interactionsから3月に『BIBAを作った女』が出版される。60〜70年代人気のブティックだったBIBA(ロンドン)のオーナーのバーバラ・フラニッキの自伝。私は子供の頃、ラジオから流れるグラムロックを聞きながら、BIBAの服を着ている女の子の写真を眺めたりするのが好きだったので、これは楽しみ。それから同社では3月に『ブラック・パンサー  エモリー・ダグラスの革命アート』が出版される。過激な黒人解放運動を担ったブラックパンサー党の広報担当イラストレーター/デザイナー、エモリー・ダグラスの作品集。敵としての白人を、抑圧をはねのける方法としての暴力を、当時の文化状況の中で、都市の黒人たちがどう描いていたのか興味あり。期待しています。


河原町のBONBON Cafe。鴨川べりでヴァンショーを飲みながら耳を澄ます。しかし、男子学生の語りを、もう聞こうとは思わないし、自分自身語ることもないでしょう。
京都では少しの時間だけど遊んできました。
風にさらされて、野宿者といっしょになって、ヒンシュクをかって、ばかみたいに。